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  音楽の旅 ~ピアノ雑記~

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Yuki NOGUCHI(野口裕紀)

演奏会、日頃の練習、レッスンの様子など不定期で書き記していきます。



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ラフマニノフのソナタ2番


最近ラフマニノフ熱が高まっており、昔から憧れていたソナタ2番に取り組み始めました。

この曲との出会いは桐朋学園時代の先輩の卒業試験と卒業演奏会で聴いた演奏でした。
メランコリックな情緒溢れる2楽章、力強くドラマティックな3楽章に魅了されたのが今でも鮮烈に思い出されます。

当時はあまり興味を惹かれなかった1楽章にも今では強い興味を持ち衝動が抑えきれなくなり、「今こそ挑戦する時期が来たのだ!」と喜び勇みながら譜読みをしています(笑)

***

さて取り掛かったはいいものの、なんと譜読みの難しいことか・・・
形になるまでに相当な時間を要しそうです。

このソナタの版は1913年の初版、1931年の改訂版、ホロヴィッツの演奏しているホロヴィッツ版の3種類があります。

代表的な演奏。Youtubeから自分好みで選んでみました(笑)
1913年初版:ゾルターン・コチシュ氏の演奏(ハンガリーの三羽烏の一人、正統派な名ピアニストです)
1931年改訂版:ユジャ・ワン女史の演奏(僕の大好きな演奏家の一人です)
ホロヴィッツ版:ウラディミール・ホロヴィッツ氏の演奏(1968年のカーネギーホール。神演奏。)

作曲者のラフマニノフ自身が、初版の中の冗長すぎる部分や演奏困難な部分などを見直し、だいぶスッキリとまとめられたのが改訂版です。

しかしながら作曲者としては良かれと思って改訂したとしても、「初版の方が魅力的だったのに・・・」と思える箇所も多々あるのもまた事実で、どちらの版で演奏するかを選択するのもピアニストの楽しみの一つとなっています。両方を混ぜ合わせて弾いているピアニストもいます。

参考楽譜付きの演奏動画:ルガンスキー氏によるミックス版の演奏(ところどころ表示されている楽譜が演奏と食い違っていて間違っていますが、そこは動画投稿者のご愛嬌ということで・・・)

ショパンのノクターン遺作(嬰ハ短調)なども、作曲者が大きく改訂したことで有名な曲ですね。
オリジナルの方が冴えたセンスが見られたり、印象に残る素敵な部分があったりするので、初版と改訂版の両方の美味しいところ取りをしたミックスで弾くピアニストも多いです。
僕も混ぜ合わせて自分の好みになるように仕立て上げています。

それと同様に、ラフマニノフのソナタ2番もまたどちらの版を採用するか悩み熟考し、自分好みの形を模索してきたいところです。



例えば上の画像の中段には、内声に魅力的なラインが隠されています。
ルガンスキーなどはこの隠れメロディーを意識的に美しく取り出して演奏しています。
これを効果的に演奏したい場合は改訂版の方が都合が良いのです。



また、上の画像の4段目以降は初版にのみ見られる部分で、改訂版ではバッサリと切り捨てられてしまっているのですが、非常にラフマニノフらしい魅力を多く含んでおり、捨ててしまうにはもったいないように感じられます。
そうなると初版を弾いた方が良いということになります。

つまり最終的に行き着くところは、これまたピアニスト自身が取捨選択して自分の好みのバージョンに仕立て上げることだと思います。

それを行った最も偉大な演奏家はホロヴィッツでしょう。
ホロヴィッツはラフマニノフ本人と親交があり、作曲者本人の了承を得て、自ら初版と改訂版のミックスを行いました。
ホロヴィッツらしい再編曲や脚色も織り交ぜられ、ラフマニノフ本人が認めるもう一つの版として成り立っています。
ただ出版されていないのが残念なところです・・・。

ホロヴィッツの代表的な演奏は1968年のカーネギーホール、1980年のボストンのシンフォニーホール、1982年のロンドンのロイヤルフェスティバルホールでの記録が残っています。
面白いことにそれぞれ微妙にミックスの内容が違うところに、ホロヴィッツ自身の感覚の変遷も見てとれます。

詳しいことは山口雅敏氏による「ラフマニノフのピアノソナタ 第2番 変ロ短調、作品36 における原典版(1913年)と改訂版(1931年)との比較、及びホロヴィッツ番の作成と考察」という文献にて知ることができます。

***

非常に難解で演奏も難しい曲ですが、そこに凝縮されたロマンティシズムはロマン派のピアノ音楽における最高傑作の一つと言えると思います。

僕なりの形を模索しつつ、練習を重ねていきたいと思います。
ワクワクする気持ちとともに意欲に燃えています♪